塩井戸が残る村
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「塩」はどこでとれるだろうか?
まず海を思い浮かべるけど、
実は北タイにも「塩」がとれるところがある。
それも山の中で。
東北地方(イサーン)では岩塩がとれるらしいけど、
北タイでは岩塩でもなく、なんと「塩水」、
それも井戸から湧き出てくるのだ。
それは、北タイのナーン県(チェンマイから東へ200キロ)の「ボーグルア」という村にある。
ナーンの市内からはいくつも山を越え、
車で3時間弱のラオスとの国境近くだ。
「ボー」は「井戸」、「グルア」は「塩」、要するに「塩井戸村」だ。
塩水がとれる井戸があるのは、世界でここだけとか。
大昔に海だったところで、もともと誰も住んでいない地域だった。
狩猟で森に入った狩人が、よく動物が池の水をなめていたのを不思議に思い、
その水を舐めてみるとしょっぱかった。
ーということでここの塩水を発見したのが始まりだ。
ラーンナー時代には、塩が採れるということで重要な場所になる。
シップソーンパンナー(中国)やチェントゥン(ビルマ)、ルアンパバン(ラオス)、
チェンマイといった場所は海から遠く塩が手に入らなかったからだ。
山の塩井戸はここだけだったので、貴重な資源を奪い合うこともあったという。
現在、ボーグルア村に塩井戸は2箇所しか残っていないそうだ。
こうやって普通の井戸のように塩水をくみ上げる。
その後、しばらく放置し、小さなゴミなどを沈殿させる。
なめてみると、ほんのり甘く、後から塩けを感じる。
それをぐつぐつと4時間ほど煮る。
交代で火の番をしながら24時間ずっと煮るそうだ。
それを雨季が明けるオークパンサー(出安居)から雨季に入るカーオパンサー(入安居)まで
火を消すことなく作り続け、雨季の間はお休みする。
「なぜ?」
「昔から代々そうなんだよ。ハハ」
……
きっと雨季は雨で地面が濡れて、塩水の濃度が薄くなるとか、
乾燥がよくないとか、
そういうことだろうか。
鍋の底に塩ができているので、
それをザルに移す。
そしてまた塩水を加え……
という作業がずっと続けられる。
ザルの穴から落ちそうな気がするけど、落ちない。
こうやって水気を切れば出来上がり。
ザラッとした粗めの塩。
塩水と同じで、最初は甘みがある。
といっても、塩だからしょっぱいけどね。
ど~んと袋詰めで売っている。
これで20B(約60円)。
こんなにあったら1年以上使える。
もっと高くてもいいのに。
塩水も薪も自然のもので無料とはいえ、ねえ。
これだけ塩が豊富ならこの村の人は塩を主に調味料で使うのだろうか?
日番をしていたレンさんに聞くと、
「料理はナムプラーより塩のほうをよく使うよ。ナムプラーは塩気が足りない時にちょっと入れるぐらい」
と教えてくれた。
地域ならではの調味料だ。
こんなお土産も売られている。
カラー塩入りキーホルダーと塩スクラブ。
そうそう、塩水で煮た茹で卵もあった。
塩をつける必要がないのだ。
コメント
貴重
大昔海だった…壮大なロマンというか歴史を感じますね。
人々の知恵とはすばらしいわ。
塩井戸と言うことばも初めて聞きました。
世界にそこだけしかないというのに、そんな雰囲気を全く感じさせないラフさですね~(笑)
20バーツの塩とカラフル塩のキーホルダ―に惹かれますが、旅行者にはちょっと行けそうになくて残念です~。
それにしても塩を作る風景と青空が素晴らしい写真ですね(*^^*)
- 2011/04/28(木) 18:09 |
- URL |
- みどりん #nmxoCd6A
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なんか地元の人が普通に生活していてよかったですよ。
チェンマイやバンコクから飛行機でナーンへ行けばあっという間だし、市内から塩井戸までは日帰りコースなのでなんとか行かれるコースですよ!
- 2011/04/28(木) 21:40 |
- URL |
- mari #-
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なんだか行けそうな気がしてきました。
こういうきっかけで知らない所へ旅行も良さそうです(^o^)
情報をありがとうございました☆
塩井戸でなくても、ナーンの町もよかったです。
またブログにアップしますね。
- 2011/04/30(土) 10:19 |
- URL |
- mari #-
- [ 編集]
塩井戸に行ってみたくなりました
塩井戸に行ってみたくなりました。
月刊ワイワイタイランドでも紹介したいな。
ナーンも素敵なので一緒に紹介してください!
- 2011/05/04(水) 12:03 |
- URL |
- mari #-
- [ 編集]